
伊賀焼窯元 長谷園・siroca株式会社
- CLIENT
- 陶器メーカー・家電メーカー
- AREA
- 東京都
- PRODUCTION TIME
- 2018年〜2020年
- STEP 1課題
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長谷園とsirocaが挑戦したのは、伝統的な土鍋炊飯の価値をそのままオール電化の家庭にも届ける商品をつくること。しかし、異なる領域(伝統陶器 × 家電)を融合させた新商品であったため、「どう語るか」「どう見せるか」が曖昧なままだった。性能や技術だけでは伝わりづらく、他社と差別化するブランドストーリーとコミュニケーション設計が不可欠だった。
- STEP 2施策
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ギフトはプロジェクト初期のヒアリングから始め、両社の想い・技術・文化的背景を整理。それをもとにネーミング・タグライン・コンセプトブック・レシピブック・パッケージデザイン・販促ツール・プロモーション映像までトータルでの設計を行った。特に「あの伊賀焼土鍋のごはんを、おうちで毎日。」という中核価値をタグラインとして策定し、全体の表現軸を一本化した。
- STEP 3結果
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施策実行後、「かまどさん電気」はグッドデザイン賞ベスト100選出、iF GOLD AWARD 受賞というデザイン面での評価を獲得。発売後もメディア掲載・SNSでの拡散が続き、ブランド認知・信頼性が大きく向上した。結果として販売面での牽引力が生まれ、伝統価値と革新価値が融合した新しいブランドの成功モデルケースをつくることができた。
WORKFLOW -
課題
長谷園とsirocaが共同開発した「かまどさん電気」は、伝統と現代技術を融合させた画期的な商品。しかし、異分野コラボゆえに「どんな価値を持つ商品なのか」「誰にどう響かせるか」が不明瞭で、顧客に伝わりにくい課題を抱えていました。
土鍋には「こだわりが強く難しい」という固定観念があり、家電には「便利で簡単」という期待があります。このギャップを埋めずに訴求すると、魅力がぼやけてしまう。また、長谷園とsirocaそれぞれのブランドらしさをどう両立させるかも大きな論点に。
性能説明だけでは差別化が難しい中、商品の持つ文化的価値と革新性を、誰にでも理解されるストーリーに翻訳する必要がありました。
WORKFLOW -
施策
ギフトはまず両社の理念や技術を丁寧にヒアリングし、伝統と革新の交差点にある中核価値を抽出。そのうえで「かまどさん」のブランド資産を継承しつつ“電気”を加えた商品名を提案し、タグラインには「あの伊賀焼土鍋のごはんを、おうちで毎日。」を設定。
さらにコンセプトブックでは思想を整理し、30日分のレシピを収録したブックを制作して「毎日使える土鍋」の認識を広げました。パッケージや販促ツールは、伝統の温かみと家電らしい清潔感を融合させ、統一感あるデザインを実現。
加えて、使用シーンを直感的に伝える店頭映像も制作。すべての施策を一貫した表現軸で設計することで、商品の強みを一目で理解できるブランド体験を創出しました。
WORKFLOW -
結果
施策の成果として「かまどさん電気」は2018年グッドデザイン賞ベスト100、2020年iF GOLD AWARDを受賞し、デザインとブランド力の両面で高い評価を獲得。発売後はテレビや雑誌など多数のメディアに取り上げられ、SNSでは「毎日使いたい」「土鍋のごはんが手軽に食べられる」といった声が広がり、認知と信頼が急速に拡大しました。販売チャネルも拡大し、当初想定以上の売上を記録した。
また、伝統工芸と家電の融合による新たな成功モデルとして業界内外から注目を集め、両社にとってブランド資産の強化にもつながりました。プロジェクト全体を通じて整理された共通の言語とストーリーは、今後の商品開発やプロモーションにも応用可能な持続的資産となっています。