
株式会社MAENI(旧:松村鋼機)
- CLIENT
- スプリング製造メーカー
- AREA
- 東京都
- PRODUCTION TIME
無名な町工場の企業リブランディング
- STEP 1課題
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コイルドウェーブスプリングというニッチな工業用波型バネの製造販売を生業する松村鋼機株式会社。創業50年を超えたが、会社の知名度がまだまだ低く、新たな販路の開拓、拡大が難しい。また松村鋼機という社名から事業を勘違いされたり、新しい技術があるにも関わらず、古い印象を持たれたりといった、実態とイメージの乖離があった。
- STEP 2施策
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大事にしている会社の思想などはあるものの、社内の共通認識となっていなかったことから、会社の軸となる、ミッション、ビジョン、バリューを新たにつくることからスタートし、あるべき企業像を言葉だけでなく、見える形で根本から組み立てていくこととした。
- STEP 3結果
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古い地方の町工場という印象がなくなったことから、今まで接点がなかった企業との取り組みや、一般消費者への流通が増え、波型バネ自体の認知度が徐々に広がった。またこれまで関わりのあった自動車産業だけではなくアパレル、アートといった他業界とのコラボレーションも増え続けている。
WORKFLOW -
課題


コイルドウェーブスプリングという波型バネ、止め輪など、工業において、ものづくりの裏側を支えることがメイン事業。主な取引先となる業界は自動車や鉄道、重機、航空機、宇宙産業といった幅広さがある中、エンジンから電気自動車が主流になる動きが世の中で起こるなど、環境に配慮したあらゆる変化が起こる一方で、当社はこの商品を作り続ける以外道はなく、知名度もまだまだ低い。当然社内に不安の声もあがる中、会社がこれからどういうスタンスであり続けるか、どこを目指すのかの指針がない状態だった。
また会社案内や、名刺など、当時のコミュニケーションツールにもコンセプトなどはなく、なぜこのデザインになったかなどを誰も知らない状態であった。
施策



企業・商品・人、それぞれに魅力があるにも関わらず、それがどこにも発信されていない状態であったことから、バネの会社と伝え続けていいのかという、根っこにメスを入れ、まずはMVV策定を通して何の会社なのかを明確にすることとした。議論を重ねる中で、自社が直接的に世の中を変えることはできなくとも、自社の製品を使う会社が進化するサポートをし続けることで、ものづくりを前進させるという新しいスタンスが明らかになり、「ものづくりの進化を支え、次の世界を切り拓く」というビジョン、「ばねがつくる、新しい波」というタグラインを作った。そしてこの理念をもつにあたり、創業以来初の社名変更を行い、世の中を前に進め、自分たちも前に進むという意味を持つ「MAENI」が生まれた。
次に、名刺、会社案内、WEB、オフィスサイン、社内ポスター、社用車、ユニフォームといったステークホルダーの目に見えるコミュニケーションツールを一新し、当社の伝えたい世界観を統一感をもって創り上げた。
またこれまでになかった業界に接点をもつべく、BtoCブランド「waveclips」のブランディングを行い、スマートキーリングやマネークリップといったプロダクトを通して、MAENIではできない一般消費者へのアプローチを行なった。
結果


コーポレート全体のリブランディングをおこなったことで、社内メンバーのエンゲージメントが向上。
コーポレートサイトはBtoB広告賞も受賞し、商品自体も「BEAMS JAPAN」「ブルーインパルス」「Audi」「TOYOTA -LAND CRUISER」といった今まで接点がなかったブランドとの取り組みが進み、知名度が徐々に拡大した。
また金沢21世紀美術館のイベントに選出されるなど、技術力だけでなく、アート、デザインといった側面でも評価されるようになった。今でも大手の量販店などに販路を拡大し、これまでになかった販路展開を見せている。